将棋界の一番長い日

3月1日は、日本将棋連盟の名人戦・A級順位戦の最終日となります。

 

将棋界の名人戦・順位戦はA級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5クラスに分かれて行われる竜王戦と並ぶ棋界最高峰、中でA級はトップ棋士同士の総当たりリーグ戦となります。

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C級2組からスタートして、白星を積み重ね、昇格を果たしA級に辿り着きます。

 

最短で5年掛ります。加藤一二三九段、現役引退した中原16世名人は最短でA級に上り詰めました。

 

 

10名のトップ棋士が1年間総当たりで戦い最高の勝ち星を挙げた棋士が名人への挑戦権を得ます。

 

成績下位の2名はB級1組への陥落となり、その意味するところは、A級棋士トップ10名からの降格であり、少なくとも来期1年間はA級で戦うことが出来ない、名人への挑戦権を争う資格がなくなるということです。

 

勝敗が同率の場合、名人への挑戦権はプレーオフで争われ、降格は順位の下位の棋士からとなります。

 

B級1組は総勢13名、やはり1年間総当たりでリーグ戦を戦い、上位2名が降格者と入れ替わりにA級に昇格します。

 

つまりA級から降格してもB級1組の過酷な戦いが待ち構え、上位2名に入らねば再昇格は出来ない、一度落ちたら次はいつ上がるチャンスがあるかわからないのです。

 

それどころかB級2組に落ちる可能性すらあります。

 

 

順位戦は持ち時間が各6時間、10時から対局が始まり夜の10時になっても優劣の決まらない勝負が続きます。

 

決着がつくのは日付が変わる零時過ぎというのは当たり前、事実、2月26日に行われた▲行方八段VS△深浦九段は終局が午前二時三十二分、消費時間は共に持ち時間ぎりぎりの5時間59分、感想戦が終了したのは午前4時過ぎという激闘でした。

 

 

最終戦を前にしたこの戦いに、行方八段は挑戦権争いのトップ5勝2敗で臨み、対する深浦八段は4勝3敗で、他者の勝敗にもよりますが、勝てば挑戦権の目が残り、負ければ降格の恐れが残るという一番でした。

 

現羽生名人は将棋を頭脳スポーツと形容していますが、棋界にもプロ野球や、Jリーグに負けないドラマがあるのです。

 

今期のA級順位戦は混戦で、6勝2敗でトップを走るのが行方八段、久保九段、5勝3敗で続くのが、渡辺 明二冠と広瀬八段。

 

以下最終戦組み合わせ( )内はこれまでの戦績 行方八段(6勝2敗)VS森内九段(3勝5敗) :行方八段は名人への挑戦権が掛り、森内九段は勝てば残留が決定、負けると降格の可能性があります。

 

久保九段(6勝2敗)VS渡辺二冠(5勝3敗):挑戦権を残したもの同士の直接対決です。

 

久保九段は勝てば7勝2敗で、行方八段が勝てば7勝2敗同士のプレーオフ、負けて行方八段が勝てば挑戦の目は無くなります。渡辺二冠は勝てば6勝3敗で久保九段と並び、他力ですが行方八段も敗れて3敗になると挑戦権の目が出ます。

 

広瀬八段(5勝3敗)VS三浦九段(3勝5敗):広瀬八段は勝てばプレーオフの可能性があります。

三浦九段は負ければ降格で勝てば残留の可能性があります。

 

佐藤九段(4勝4敗)VS深浦九段(4勝4敗)

 

郷田九段(4勝4敗)VS阿久津八段(0勝8敗):郷田九段は負ければ順位の差で降格の可能性があります。

 

将棋界の一番長い日と言われる3月1日。

 

名人への挑戦者に名乗りを上げる可能性のあるのは行方八段、久保九段、渡辺二冠、広瀬八段、誰がなっても初挑戦です。

 

将棋を志してからの夢、名人戦への道。

 

名人位は近くまで来たのか、まだ遠いのか、挑戦者は4名に絞られました。

 

阿久津八段の降格が既に決まってしまいましたが、まだあと一人降格する人が出ます。

 

森内九段、三浦九段、郷田九段の3人のうち必ず一人が降格します。

 

森内九段は20期、郷田九段は12期、三浦九段は14期、A級に在籍しています。

 

羽生名人への挑戦者は誰になるのか、プレーオフか、降格は誰か、決まるのは3月1日深夜になります。

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